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慢性腎臓病 2024.02.19
慢性腎臓病の治療について
現時点では、腎臓の機能を回復させる特効薬は存在しません。
しかし、進行を遅らせることは可能です。
慢性腎不全の治療は、個々の症状や原因に合わせて選択されます
専門医による早期の治療と定期的なフォローアップが重要です。
治療の目的
治療には大きく2つの目的があります。
1.腎機能の低下をできるだけ抑制し、人工透析が必要な末期腎不全の状態にならないようにすること。
2.心筋梗塞や脳梗塞などの、心臓や脳の血管の障害を防ぐこと。慢性腎臓病ではこれらの病気を発症する確率が高い傾向にあります。
– 原疾患の治療が重要です –
慢性腎臓病の原因となっている病気が分かっている場合には、その治療をしっかりと行うことが最も重要です。
原因疾患の特定には腎生検などの検査が必要になることがあります。
入院が必要な検査ですので、協力医療機関に紹介し検査を進める場合もございます。
そのうえで、”糖尿病” など”生活習慣病” が背景にある場合には、食事療法や運動療法などで生活習慣を改善することが重要です。
伴わせて、必要であれば薬物治療を開始します。
1.食事療法
○塩分制限: 高血圧を引き起こす余分な塩分を避けるために減塩が重要です。
高血圧は腎臓(特に糸球体)に大きな負担をかけるため、腎機能の低下を速めてしまいます。
○カリウム制限: 高カリウム血症を防ぐためにカリウムの摂取量を調整します。
腎機能が低下すると体内のカリウムの濃度が高くなり(高カリウム血症)、不整脈などで突然心臓が止まってしまうことがあります。カリウムは生野菜や果物に多く含まれておりますが、適正量や許容量は人によって大きく異なります。
自覚症状はほとんどないため、定期的な血液検査によるフォローアップが必要です。
○たんぱく質制限: 腎臓の負担を軽減するために過剰なたんぱく質の摂取を制限します。
○リン制限: 血管の石灰化を防ぐためにリンの制限が必要です。
リンには、“無機リン”と“有機リン”があります。リンがたまると血管が石灰化して硬くなってしまいます。
“無機リン”は食品添加物などに含まれており、“有機リン”は蛋白質に含まれています。
特に、無機リンは食品添加物などから知らないうちに大量に摂取している可能性があるため注意が必要です。
こちらも初期の段階では自覚症状はほとんどないため、定期的な血液検査によるフォローアップが必要です。
2.薬物療法:
原因や病態、年齢等に合わせていくつかの薬剤を組み合わせて使用します。
○降圧薬: 高血圧を管理し、腎臓の負担を軽減します。
○血糖降下薬: 糖尿病患者には血糖値をコントロールする薬が使用されます。
○脂質異常症の治療: コレステロールを低下させる薬を使用して動脈硬化を抑制します。
○腎性貧血の治療: 注射薬や内服薬が病態に合わせて使用されます。
腎臓では赤血球をつくるのに必要なエリスロポエチンというホルモンがつくられていますが、腎機能が低下するとこのホルモンが必要量つくられなくなります。
○骨ミネラルの治療: リン吸着薬やビタミンD製剤が使用されます。
腎臓にはカルシウムの吸収を促すビタミンDを活性化させる働きがあります。腎機能が低下するとこの機能が低下します。これにより、副甲状腺の機能が亢進し、骨が脆くなってしまいます。このバランスを調整するために、ビタミンD製剤やリンの吸収を抑制するリン吸着薬などを使用します。
○カリウムの治療: カリウム吸着薬が使用されます。
カリウムの濃度が高くなると突然の心停止の危険性があるため、カリウムを吸着する薬を使用することがあります。
○老廃物や毒素の治療: 活性吸着炭製剤が使われることもあります。
炭には有害物質を吸着する作用があるため、活性吸着炭製剤を服用することで、体にたまった老廃物や毒素を吸着して便として排泄させることができます。
3.生活習慣の改善:
○禁煙や肥満の解消など、生活習慣の改善が大切です。
○夜は睡眠をしっかり取ることを心がけましょう。
○禁煙しましょう。
たばこに含まれるニコチンには、血管を収縮させる作用があります。これによって血流が悪化するため、腎機能が低下してしまいます。
4.人工透析:(当院では透析治療は行っておりません)
○腎機能が著しく低下した場合、人工透析が必要になります。